prologue



 ――世界が、誰を中心に回ってるかって?
そんなの、聞くまでもないでしょうが。分からないの?

 自分自身よ。
どんな人だって、自分以外の人が世界の中心にいるなんて、ありえないじゃない。
例えば、どれほどの大恋愛の末に結婚したって、やっぱり世界の中心に立ってるのは自分自身でしょう?
いくら相手が好きだからって言ったって、その人のために生きるなんて、その人がいなくちゃ生きていけないなんて、そんなはずはないと思うから。
もちろん、それを回すのが誰かってことは、人それぞれだから分からないけれど。

 あたしの世界?
そんなの、当然。
あたしが、その中心にいる。
そして、その世界を回しているのも、あたし。他人になんて任せられるわけがないでしょ?
あたしは、あたしよ。
あたしの人生はあたしのものだし、誰に引き摺られることも耐えられない。
そういう性格だって、ちゃんと自覚してるんだから。
今までそうしてやってきた。
そして、これからも……きっと。

 あたしは、一人で生きていく。
このまま、ずっと。


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